クマムシ。
この虫はカラカラ乾燥でも生きられる。
乾燥すると「乾眠」する。
水を与えると、何事もなかったように動き出すという。
極限の状態で生き抜く。
植物でもこういう生き物がいるのか???・
シャボテン、着生ランはどうか。
プロトコームにカラカラの乾燥を与えると、簡単に死ぬ。
このことから、ラン科植物では、クマムシのような進化の経過を辿ったものはない。
生物が海から陸上に上がったときから、乾燥と紫外線が最大の敵であった。
どうやって水を確保するか。
どうやって紫外線から身を守るか。
この視点から着生ランを考えると、SUGOI-ne栽培が見えてくる。
ランにはクマムシのような「乾眠」はない。
熱帯、亜熱帯では葉を落として生育停止させ休眠状態になるが「乾眠」とはいわない。
熱帯、亜熱帯に自生する着生ランでは「休眠」ではなく、乾燥による「生育停止」である。
最低限プロトコームが生存可能な湿度が必要である。
ラン科植物には、着生ランがある。
樹の上、岩などに着生して生きるランである。
この着生ランが地上でなく・・・・あたかも空中で生存しているように見えるから、
このランについての説明がしばしば誤解されて記述される。
着生ランが、本当に空中が好きなのか。
地上では生きられないランなのか。
乾燥が好きなのか。
そういう疑問である。
熱帯雨林を支配している植物は喬木である。
ランつくりからすると残念なことであるが・・・・・。
大株に咲く美しい花をみれば・・・
自生地で大きい株を観察すると・・・・どうしても空中の根に目が行く。
視点、焦点が・・・その形態観察になる。
しかし、自生地で着生ランのプロトコームを発見した者はいない。
発見しようとする視点、視野がなかったからである。
着生ランが空中が好きなら・・・・空中で種子が発芽しても良いのであるが????
こういう視点から着生ランを考えると良いのかもしれない。
着生ランとて菌根植物である。
ラン菌と共生して生きる植物である。
空中にはラン菌の胞子は浮遊しているが・・・・菌糸はない。
よって・・・ランの種子は発芽できない。
ラン科植物は地球上で全く独自に進化したのではない。
植物進化の中で、己の生存、種の継承を考えたとき、最も有効で合理的に、
計算した植物である。
森での負け組みのランが、生き残るにはしたたかな計算が必要であったと考えられる。
子孫が生存出来る場所はどこにでもあるのではない。
そのためには・・・・広範囲の場所に種子を飛ばす必要がある。
ランは何を真似たか???
最も下等な生き物・・・微生物の胞子を真似た。
胞子のように種子を微細にすれば、空中に浮遊して・・・
気流で遠くまで広範囲に飛ぶことが出来る。
地球上何所にでも種子は播かれることになる。
胚乳のある種子では、タンポポのように落下傘のようなものでも、
胞子、ランの種子のようには広がらない。
この種子が舞い落ちた場所こそ・・・
樹の上の枯れ落ち葉、コケなどの植物死骸があって、
ラン菌による炭素循環が構築されている場所である。
カラカラ乾燥の場所では発芽できない。
一年中、種子が生きて、プロとコームが生存可能な湿度がある場所である。
着生ランの生育スピードは非常に遅い。
こういうランの種子が地上に舞い落ち、発芽しても、
周りの生育の早い植物に勝てない。
生存不可能である。
樹の上、岩の上なら・・・・他の植物が生きられないから・・・競争相手がいないから、
スローモーな生き方でも、どうにか生きられる。
樹の上は楽園ではない。
強風もある。
強い光、紫外線もある。
豪雨もある。
乾燥も激しい。
着生ランの根、茎、葉・・・は上記の過酷な条件に耐えられる特性を具備している。
この特性があるために、素焼き鉢、小さな鉢、水ゴケ、釣り鉢、カラカラ乾燥の栽培でも、
どうにか花を咲かせる。
ここで問題なのが、上記の過酷な条件を、本当に着生ランは好きなのかということである。
ラン科植物26000.
この全ての種が、胚乳を持たない。
ラン菌との共生で発芽する。
数ヶ月から1年以上もプロトコーム時代をもつ。
これは地生ラン、着生ラン、腐生ランも全て同じである。
この視点から考えると、着生ランが決して特別なものではないことが解かる。
着生ランでも、常にプロトコームが生きられる湿度が欲しいのである。
簡単に言えば、過酷な条件に耐える特性を具備しているに過ぎない。
伊達や酔狂で樹の上・・・・ブルーシート生活しているわけではない。
泣き泣き生きているに過ぎない。
樹の上、岩の上には、豊な炭素源である枯れ葉、植物死骸はない。
この貧栄養条件の中で生きる術を身につけた植物が着生植物である。
樹の上は高級マンションではない。
着生ランは・・・・
空中で発芽出来るか?????
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